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「徳島県食の安全・安心基本指針」に意見書を提出しました

2004年9月13日

徳島県食の安全・安心企画員室 御中

徳島県食の安全・安心基本指針(原案)についての意見・要望

771-0289 徳島県板野郡北島町中村字東堤の内30−3
電話 088-698-3910
徳島県生活協同組合連合会 会長 八木 正江

 本年8月25日徳島県から明らかにされたパブリック・コメント募集要項に沿いまして以下の通り意見・要望を申し上げます。

 徳島県は、食の安全・安心基本指針案(以下、指針案)をまとめ8月25日ホームページ等で公開し広く県民の意見を求めることにしています。

 この指針案には、これまで県民の食の安全・安心を向上するためにいろいろな取組みを進めてきた当生協連合会や他の消費者団体等の願いを正面から受け止めていただき、多くの点で意見反映されていることにまずもって心より敬意を表します。

 県民の食の安全・安心への要求は大変強いものがあります。昨年当生協連合会の実施しましたアンケートでも約9割の方が食に不安感を抱いています。その後さらに食の安全・安心を脅かすような事件が相次いでいますから引き続き重要な関心事だと推察します。

 こうした県民の食の安全・安心への願いを実現するためにこの指針案がさらによりよいものとなることを願って以下の具体的な意見を申し上げます。

1、「趣旨」について

 食の安全・安心行政について、「県においては、消費者の健康保護を最優先に」位置付けられたことは私たちの願いの反映でもあり歓迎するところです。今後ともこの視点で食品安全・安心行政施策を推進していただきたいと思います。

2、「目指すもの」について

 「オンリーワン徳島行動計画」の食の安全・安心施策の内容について、「食品供給工程(フードチェーン)を通じた食の安全・安心確保」の表が添付されたことはより分かりやすくなったと思います。

 今後のところでは、新しい指針に基づき「オンリーワン徳島行動計画」の食の安全・安心施策部分の見直し及び新規目標の設定を行っていただきたいと思います。

 また徳島県としての特色を明確にするために「生産者と、消費者の距離が極めて近い本県の特色を生かし」という表現が盛り込まれた点は評価するところです。一方「徳島らしい」という具体的な中身はどのようなことでしょうか。消費者としては、県民の声を大切に消費者の権利を実現するような施策を期待するところです。例えば、現在国においてBSE問題で全頭検査の見直しが検討されていますが徳島県においては県民の声を聞き、検査の継続を検討していただきたいと思います。こうした取組みを行うことが徳島らしい中身の一つとなると思います。

3、「基本的な考え方」について

 食の安全・安心の確保は、今年制定された消費者基本法にも明記された消費者の権利を実現する重要な内容の一つです。この点は、4(4)消費者の役割の項で「消費者は、食品についての安全を求め、知らされ、選び、主張する権利を行使する」と表現されている点は評価しますが、基本的な考え方においても消費者の権利を実現する立場で食の安全・安心基本指針を作成することを明確にしておくことが重要だと考えます。

 消費者、生産者、食品関係事業者、学識経験者、行政との協働の視点が明確にされていることは歓迎するところです。今後は、協働の具体的な中身作りを期待したいと思います。

4、「県及び生産者、食品関係事業者の責務と学識経験者、消費者の役割」について

(1)「県の責務」について

  1. 食の安全・安心のための連携と信頼確保について

     食の安全・安心の前提となる食の安定供給、食料自給率の向上は消費者の要求でもあります。食の安全・安心という枠組の中でもこのことを位置付けることが必要であり、信頼確保には欠かせないことだと思います。そのための県の施策をいっそう具体化する視点を明記していただきたいと思います。

     次に「とくしま食の安全・安心県民会議」の位置付けが明確にされたことは歓迎するところです。今後は、事業の進ちょく状況なども県民会議において適時意見反映が行えるようにしていただきたいと思います。

     また食の安全・安心の人材育成と強化について、県庁内横断組織を設置され、位置付けも明確にされたことも歓迎するところです。今後は、実務を担う食の安全・安心企画員室等のいっそうの充実を期待します。

  2. 食品供給工程(フードチェーン)の各段階における食の安全・安心確保について

     食品供給工程の各段階における食の安全・安心確保について県の責務を明確にしたことは歓迎するところです。今後は「食品の安全を確保するための必要な措置を適切」に講じるための具体的な施策を期待するところです。

  3. 危機管理体制の推進について

     平常時と緊急事態とを分けて対応する視点が明確にされたことは歓迎するところです。今後とも、情報をできる限り早く、全面開示することを基本として対応していただきたいと思います。

  4. 追加として

     県民の間で食の安全・安心について不安や疑問のあることについては、県としてもまずは県民の意見を聞いたり意見交換の場を設けるなどして必要な対応をしていただきたいと思います。例えば、その一つとしての遺伝子組換え作物については、安全性について科学的に未解明な点を指摘する研究もあり、生産者からも風評被害の不安の声が聞かれます。まずは意見を聞いたり意見交換する場を設け、検査機関での検査と結果の公表をするなどして、現段階としては「遺伝子組換え作物不栽培宣言」などを出して欲しいと思います。

5、「食の安全・安心確保対策の8つの柱」について

(1)「食の安全・安心のための信頼確保」について

2. 「地域版食の安全・安心県民会議(仮称)」の設置については、市町村などより県民に身近なところでの取組みの具体化として歓迎するところです。

(4)「食の安全・安心に関する知識の普及と相互理解の推進」について

1. 「正しい食情報への知識と理解の促進」について

 正しい食情報への知識と理解の促進は、消費者にとっても重要なことです。

 しかしながら「また農薬や食品添加物は食品の安定供給に必要なものであり、その残留が、直ちに健康に悪影響を与えるものではなく、その量を考えることが必要です」の内容については、以下の理由で削除又は大幅な書き直しを行っていただきたいと思います。

 農薬や食品添加物が食品の安定供給に必要な点は消費者も理解しているつもりですが農薬や食品添加物を使用することのデメリットもあります。また安定供給には不必要な添加物、着色料などもあります。この表現では、使用が肯定される面だけが表現されることになり、「使用総量」を少なくして欲しいという消費者の願いやデメリットが表現されていません。農薬や食品添加物への反省からこの指針案でも推進しようとしている「地産地消活動」や「環境への取組み」への積極的な意味とも矛盾する内容となっています。こうした議論を呼ぶような見解を「基本指針」に含めることは適当ではないと思います。

 また、農薬や食品添加物の残留の量を考えることとしていますが、それでは消費者の方から言えば、量の情報開示が必要なことになります。現在、商品表示では種類は表示することになっていますがその量を情報開示することは実務上不可能なことでしょう。こうした議論を招く表現という意味でも不適切だと考えます。

 次の段落の「農薬や食品添加物などの使用、健康食品の安全性・有効性など」の部分は、「安全性・有効性及び危険性などのデメリットなど」と加筆するか削除していただきたいと思います。消費者としては、農薬・食品添加物・健康食品(その他にもいろいろとありますが)について、安全性・有効性と同時に危険性などデメリット情報も知りたいわけです。その両方を知ってこそ「正しい食情報」の理解となると思います。科学的な根拠に基づく分かりやすい情報に加えて部分的一方的ではなくできる限り全体的な情報提供が重要と考えます。

2. 「食と農の連携活動」の促進について

 食と農の連携活動として、食の安定供給・食料自給率向上は重要なテーマになると思います。「地産地消活動」の推進などにおいても食の安定供給・食料自給率向上の視点を付加していただきたいと思います。

 次に「地産地消推進モデル校において」進めることは歓迎するところですが、モデル校だけでなく全体に普及し推進する視点を付加していただきたいと思います。

 また、食育は、「食と農の連携活動」の範囲だけで考えるのではなく、国においても位置付けられており、独自の重要性を持つ項目だと思います。それで3として「県民みんなの取組みで進める食育」というような項目を新たに設定していただきたいと思います。そして内容としては、

  • 食育ボランテイアの登録だけでなく育成と活動の場を提供すること、
  • 学校教育や給食の場での食育の位置付けの明示、
  • 学校での食育は教師・栄養職員・調理員とともに保護者や地域住民との協働を重視すること、
  • 食育についての県民の自発的な運動を支援する取組みの必要性、
  • 食育の内容として徳島の風土にあった食生活や食文化を普及する視点の明示など

を盛り込んでいただきたいと思います。

(5)「農林水産物、加工食品に関する調査研究及び試験検査」について

2. 食品の安全確保に係る試験検査体制の強化について

 「精度管理の徹底」だけでなく、「検査手法の開発」「分析機器の整備」「食品検査の業務管理基準の導入、充実強化」などの内容も盛り込んでいただきたいと思います。

(7)「危機管理体制の推進」について

1. 違反食品の広域流通に対する対応について

 対象とする食品に、生産、製造・加工された食品だけでなく「県内で消費された」食品も含めて欲しいと思います。消費者の立場からすれば、消費する時点が重要なのであり、食品の広域流通性を考えれば、県としても県内消費する食品にも何らかの対応をしていただきたいと思います。

6、その他

(1) 全体として畜産物や水産物の安全・安心の取組みの具体化の視点が少ないように思います。例えば生産段階での指導の充実として農産物と同様に「水産養殖物の食品としての安全性を確保するため、生産者への使用医薬品の投薬記録の徹底や残留検査の実施」などを行って欲しいと思います。

(2) 基本指針作成後も定期的に見直す際には、引き続き県民の意見を聞く機会を設けていただきたいと思います。

(3) 基本指針に基づく年度方針の具体化にあたっては、検討、起案、予算原案作成、執行、点検などの各段階で県民会議の意見を反映する機会を設けていただきたいと思います。

(4) 基本指針の中に表現されている施策について、より分かりやすくするために、既存事業(踏襲、改善充実)、新規事業にわけて一覧表としていただきたいと思います。

 

     
 
 徳島県生活協同組合連合会|〒771-0203 板野郡北島町中村字東堤ノ内30-3